発達障害等の困りを抱えている人が働くことができる環境整備に向けた協働の取り組み
一億総活躍社会の目的は誰もが生きがいを感じられる社会を創ることであり、女性も男性も、お年寄りも若者も、一度失敗を経験した方も、障害や難病のある方も、家庭で、職場で、地域で、あらゆる場で、誰もが活躍できる、いわば全員参加型の社会でとされている。
全ての人が包摂される社会の実現に向けて、多様な個人の能力の発揮による労働参加率向上やイノベーションの創出が図られることを通じて、経済成長が加速することが期待されています。
しかしながら、様々な(本人や家族の中にある)困りによって社会参加を阻む「壁」の存在があり、その「壁」を取り除くことが、最終的には誰もが活躍できる社会の実現につながります。
今事業は、発達障害や治療法が解明されていない難病の方等で高い能力がありながら自身の特性により社会との関わりが困難な方、また、親の介護や兄弟姉妹が障害者であることで生活上の障害がある方、等が「働く」という場面で能力を発揮しやすい環境
整備に向けて、これらに取り組んでいる6つの小さな協働が紡ぎあい新たな協働につなげることにより、課題解決に向けたソーシャルビジネス的な持続可能な支援モデルを構築すること目的としています。
本事業は公益財団法人キリン福祉財団の計画事業として行われています。
プロジェクト
発達障害のある人のキャリアアップ創出プロジェクト(2017年~2019年)
障害者の雇用環境が変化する中で、発達障害のある人の真面目さ、集中して仕事に取り組むところなどが注目され、関心を持つ企業が増えています。
しかしながら、自身の仕事の適正(マッチング)、職場定着(職場でのコミュニケーションや上司や周囲の理解)、キャリアアップ、仕事と生活のバランスなど、長期的に就業していくためには様々な課題があります。
平成30年4月より、障害者雇用率の見直しがあり、法定雇用率の引き上げが想定されています。
今後さらに障害者雇用枠の求人が増え、雇用が進むことが予測されており、今後は就職が目標であった時代から、よりよい働き方や安心して働くことのできる環境が求められています。
そこで、就労を目指す発達障害のある人がひとりでも多く、自分に合った仕事に就き、活躍できる環境整備を目的にプロジェクトを立ち上げることになりました。最終的には、キャリアアッププランとしてプログラムを構築し、実践しています。
発達障害等のある人のための<eラーニング>キャリア講座(2020年~2022年)
「発達障害のある人のキャリアップ創出プロジェクト」は<発達障害等の困りを抱えている人が働くことができる環境整備に向けた協働の取り組み(キリン福祉財団計画事業)>の3年プロジェクトとして2017年からスタートし、2019年3月末を持って終了しました。
3年間で構築したプログラムをベースに、2020年より新たな3年プロジェクトとして、多くの当事者が受講できる環境整備のために新たにe-ラーニングなどのウェブを活用したプログラムの再整備と配信システムとを構築することを目的に「発達障害等のある人のための<eラーニング>キャリアアップ講座」を実践しています。
【トライアル事業】若者ケアラ―やひきこもり当事者の働くための基礎力講座(2021年)
介護やひきこもり等により、社会との関係性が希薄になり、他者との関係性をうまく築くことが難しくなってきます。
また、ケアラ―は家庭では自分のことを後回しにすることが多く、気持ちを整理して言語化することを無意識のうちに制限してしまうことがあります。
そこで、仕事の基礎知識を学びながら自身の特性を活かすことを目指し、本来持っている能力や才能を自身で引き出すための方法の学び、行動変容につなげていくことを目的にNPO法人 介護者ネットワークアラジンと協働し、社会参加の一助につなげていきたいと考えています。
【トライアル事業】ひきこもり経験者の働くための基礎力講座(2022年)
江戸川区が行った調査において、ひきこもりの当事者が求めているものについて複数回答で聞いたところ「就労に向けた準備、アルバイトや働き場所の紹介」が最も多く、次いで「短時間でも働ける職場」と就労に関する回答が半数近くあったことが報告されています。
しかしながら、社会経験がほとんどない、また以前はあったが現在は社会との接点がない中で、就労に向けて一歩踏み出すことは容易ではなく、本人にあった様々な職業(就労)準備性の支援が必要です。
そこで、つむぐびとプロジェクトは公益財団法人キリン福祉財団の計画事業のひとつとして、就労のための基礎的な知識を獲得することを目的にNPO法人さらプロジェクトと協働し、就労に向けた次の一歩につながる機会を提供したいと考えています。